氏名を含む商標を登録できるようにしようとする動きが出ている。
一般紙でも報道されているので、注目度は高いようだ。
氏名含む商標も登録可能に 特許庁、法改正で要件緩和へ: 日本経済新聞 (nikkei.com)

商標法では4条1項8号で他人の氏名を含む商標の登録ができない旨、定められていが、これを改正しようという動きである。

【商標法】4条1項8号
次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
(省略)
他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)

ファッション業界を中心に、デザイナーの氏名をそのままブランドにすることがあり、これが保護されないのではブランディングが難しくなるというのが、主な理由のようだ。諸外国との制度融和の観点も重視されている。

また、昨年話題になり、本ブログでも取り上げた、「マツモトキヨシ音商標事件」(登録6516931号知財高裁判決R3.08.30)も多分に影響を与えているものと思われる。

この話題に対し、各所で検討がされているが、概ね歓迎する意見が多いようである。
めろん君も氏名がふくまれれば全て拒絶という現行の原則を改めることには賛成である。

ただし、主流派意見が「①原則登録可能とし、②引用される他人の氏名が周知著名である場合を例外とする」としているのには、やや違和感を覚えます。

本号は、引用される他人の氏名に係る人格権を保護することを目的に定められたものです。この視点はやはり重要であって、登録不可の原則は維持すべきと考えます。そして、登録される要件の方を、例外としてさだめる方向で検討すべきと考えます。

具体的には、
保護に値するだけの実態(①使用の事実、②周知性)の立証を求め、その範囲内において登録を認めることを提案します。①の使用の事実を求めるので、現に使用している態様での登録となり、例えば標準文字や一般の活字での登録は回避できます。②の周知性については、他の条項における周知性より少しゆる目に運用することとし、商標であると認識されれば足りるということでいいのではないでしょうか。

条文としては、
他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称としてのみ一般に認識される標章を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)

程度とし、「・・・としてのみ一般に認識される」ものでないものとして、審査基準で、「特徴ある書体で表される、特定の図形と結合し一体として表される等」といった態様面の要件と、「使用の事実」による周知性の要件とを設けることで、商標としても認識されるものを登録できるようにすることが可能と考えます。